① はじめに

英語力を身につけたいけれど、具体的に何をすればいいのかわからない…という方も多いのではないでしょうか?
そんなときは英検の勉強から始めてみるのも一つの方法です。
英検の最大の魅力は、4技能をバランスよく伸ばせる点です。
英検では、リスニング、リーディングに加え、スピーキング(4級、5級は原則受験、3級以上は必須)、ライティング(3級以上)の問題が加わります。対策すべき範囲は広くなってしまいますが、その分、4技能をうまく伸ばすことが可能です。英検対策の教材を使えば、無理のない配分で各技能を学習できますよ。
スピーキングやライティングというと敷居が高く感じてしまうかもしれませんね。しかし、英検はレベル別に級が設定されているので、自分の英語力に見合ったところからスタートすることが可能です。(これは、みんなが同じ問題を解くTOEICと大きく異なる点です。)
つまり、自分に合ったレベルから、バランス良く4技能を伸ばしていくことが可能なのです。

私自身も、英検3級から1つずつステップアップしてきましたよ。

これから、3級以降の各級の学習方法や、合格レベルでの英語力がどの程度だったかを実例でご紹介いたします。

② 3級の勉強法

英検3級に合格したのは中学生3年生のころです。同じタイミングで英検3級に合格した同級生も何人かいました。3級合格には中学卒業程度の英語力が目安となりますから、中学生で習う単語や文法を網羅していれば合格できるはずです。
当時は、公立高校の入試問題はすらすら解けるけれど、難関私立高校の問題は歯が立たなかった覚えがあります。

このように3級は、文法や単語の基礎を固めるにぴったりだと思います。
久しぶりに英語をやり直したいという方は、まずは3級合格を目標にしてはいかがでしょうか?

③ 準2級の勉強法

準2級では、3級の内容に少し難しい文法事項(分詞構文など)が加わります。また、単語の量も増えて、1文も長く複雑になります。
私は単語と文法の学習のほか、スラッシュリーディングと指示語の内容を正確に理解することで合格できました。

ちなみに高校1年生のころです。使った教材は単語帳と過去問のみです。文法に関しては高校で習っていたので特に対策しなかったのですが、社会人の方は、復習が必要なら文法書が1冊あるといいかと思います(私も高校受験用の文法書を1冊持っていて、気になることがあると調べています)。

準2級では、長文を読むことに慣れることが大切です。英検では問題文への書き込みが可能なので、自分なりのルールを決めてどんどん書き込むことで解読していきましょう。
私のやっていた(難解な文章では今でもしている)方法をいくつかお伝えします。

①指示語や代名詞を○で囲み、それらが指すものを線で繋ぐ
②1文が長い場合、固まりごとにスラッシュを入れながら読み進める
(どこにスラッシュを入れればいいかわからない場合は、前置詞の前後に入れるとやりやすいです。)
③接続詞の役割に応じてマークをつける
(私は、順接(soなど)は「→」、逆接(but、howeverなど)は「△」で印をつけています。)

文章が長くなってくる準2級以降に特に使えるテクニックですので、よかったら参考にしてみてください。

④ 2級の勉強法

2級では単語力が試されます。単語帳で語彙を増やしつつ、長文やリスニングの問題を通して定着させていくことが重要です。
ちなみに私は、準2級取得の1年後、高校2年生のときに合格しました。長文とリスニングに触れる習慣を作れば、単語を覚えることで合格が見えてくるはずです。

個人的な感覚としては、2級程度の力があれば、ネイティブとの日常会話が可能になります。聞き返したり、説明し直す場面はまたまだ多いかもしれませんが、翻訳アプリなどがなくてもなんとかなるレベルかと思います。

私は高校2年生のときに英検2級を取得しましたが、そのころの話を例に挙げたいと思います。
当時、高校のALT(Assistant Language Teacherの略で、外国語を母国語とする外国語指導助手をいいます)の先生と仲良くなって一緒にランチを食べたりしていました。どの程度の会話ができていたかというと、「まつげが長いね」と言いたいのに”eyelashes”という英単語が思いつかず、「(まつげを指差しながら)Your here is long!」という具合でした。
考えてみると、”your here”という表現も正確ではありませんが、自分の持っている語彙を使って話すよう心掛け、何とか通じていました。

⑤ 準1級の勉強法

準1級からは格段に難しくなります。
なんといっても単語。これまで目にしたことのないような難解な単語のオンパレードです。2級に合格した基礎力がある方なら、ここを乗り越えれば合格できると言っても過言でないほどの高いハードルです。

私は、英検準1級用の単語帳に載っている単語を全て覚える勢いでやり込むことで合格できました。2級合格の2年後、3回目の受験のときでした。
私の覚え方をご紹介します。

まずは知っている単語を確認し、それらは学習しません。知らない単語を10回ほど見て覚え、それで覚えられたものはそれ以降は学習しない。これを何度か繰り返して、どうしても相性の悪い単語に限られてきたところで例文ごと覚えたり、語源を調べたり、類義語や英英辞典を調べながら覚えたりと、あの手この手を使うようにしました。
単語帳の9割覚えたところで、またすべての単語を確認し、忘れていた単語を集中的に覚えるということを繰り返していましたよ。

準1級レベルになると、少し辞書を使えば英字新聞を読んで内容を正確に理解できるようになります。
つまり、生の英語を理解できるほどの高い英語力が身につきます。このころはよく、JapanTimesを1週間かけて読み解いていました。他にも、先ほどのALTの先生と電話やメールでやりとりしたり、洋書を読んでみたりと、「教材」ではない生の英語に触れる機会が増えてきたのもこの時期です。

英検準1級までの面接は、音読を続けてきたおかげですんなり合格できました。特に英会話はしていませんでしたが、長文やリスニングの問題に出会うたびに1度は必ず音読する習慣を高校生から続けてきました。
英検の学習はインプット重視になりがちですが、音読を取り入れることでアウトプットの対策もついでにしてしまいましょう!

⑥ 1 級の勉強法

1級合格までは長い道のりでした。これまでのやり方では歯が立たなかったのです。

単語編

まずは単語。準1級でも苦労しましたが、1級の単語たちは「はじめまして」状態のものばかりでした。しかも、ラテン語などが語源の単語も多いので、それまで得意としてきた「接尾辞や接頭語から意味を推測する」覚え方が効果を発揮しなかったのです。
書いて覚えようとしたりもしましたが、量が膨大すぎます。すべて書いて覚えていたら200年くらいかかります。

結局、一番良かったのが「とにかく繰り返す」方法です。シンプルですが、これが結論でした。それまでは、膨大な量の知らない単語を前に、手っ取り早く覚えられる方法はないかと考えて、結果的に回り道をしてきました。
最終的に、英検1級用の単語帳1冊を100回くらい繰り返しました。単語を9割覚えるまではひたすら単語の学習ばかりしていました。単語帳付属のCDも活用しました。シャドーイングしながら聞くことが多かったですが、疲れたときは聞き流すだけのこともありました。
3ヶ月で2,500単語(単語帳1冊)を覚えるのは負荷が大きかったですが、集中的に取り組めば短期間で大量の単語を覚えられるんだという自信にもなりました。

このときは第一子を妊娠中で、出産後は学習する時間がないことは予想できたので「何としてでも今回で受かる!」という気持ちがありました。締め切り効果(時間が限られている方が集中力が上がること)のおかげで集中して覚えきれたと思います。目標には締め切りを設けることの重要性を痛感した出来事でした。

長文読解編

次に長文です。
準1級までは単語力があれば対応できますが、1級ではかなり高い速読力が要求されます。速く読むだけでなく正確に読む力も要求されます。対策として、制限時間内に解き切る練習を積むことが大切です。
私は、長文対策に特化した問題集を1冊買いました。語数に応じ制限時間を設け、その時間内で解く練習を試験前の1ヶ月間毎日行いました。最初は時間切れになることも多かったのですが、毎日続けることで解き切れるようになりました。

作文編

また、英作文の対策も重要です。自分の意見を自分の言葉で書けるようになる必要があるので、模範解答を暗記するのではなく、自分の言葉で考える癖をつけていました。
オンライン英会話などされている方は、とても有効な対策になるかと思います。私はHello Talkという無料アプリで外国人と毎日やり取りしたり、目に入ったものを英語で表現するようにしていました。例えば、散歩をしていて猫が目に入ったら、”The cat is walking along the street.”といった具合です。

こうして、7年かかって無事に一次試験に合格することができました。しかし、2次試験(面接)でも苦労することになりました。

面接対策編

英検1級の面接は、即興スピーチをする必要があります。与えられたトピックの中から1つを選び、1分間でスピーチの内容を考えます。メモを取ることはできません。
トピックの内容は社会性の高い幅広い分野の話題が取り上げられます。例えば「科学の発展は常に有益か」「芸術への財政的支援増加の是非」「世界経済における日本の役割」などなど、日本語でも難しいものばかりです。

過去の問題を片っぱしから引っ張り、自分の意見をまとめたりもしましたが、1回目の面接試験では、緊張で頭が真っ白になり、まともに話せませんでした。
2回目は子供の出産と重なり未受験。
3回目の対策のときは、Hello Talkアプリを活用しました。このアプリでやりとりをしていたネイティブの方々に音声を送ってフィードバックをもらっていました。オンライン英会話などを使える環境にある方は、この場合はぜひ活用した方がいいと思います。

こうして無事に合格することができました。
私が1回目の面接で不合格だった最大の理由は「評価が下される場面で話すことに慣れていなかった」ことだと思うのです。気軽な会話は慣れていましたが、英語での面接やスピーチは準1級取得以来、7年ほどしていませんでした(学生時代は試験が日常的だったので過度に緊張することなく対応できていたのだと思います)。
緊張して頭が真っ白になり、話した内容も覚えていないほどでした。こうした状況もあらかじめ練習しておくことは合格のために重要だと思います。

このように何とか取得した英検1級でしたが、取得後は文字どおり見える世界が変わりました。
具体的には、ネイティブと幅広いトピックについてディスカッションできるようになりました。私は1級取得後にオンライン英会話を始めたのですが、さまざまな話題について話をすることができるようになりました。
「映画の話」など軽いものからから「オリンピックの是非」「AIに仕事を取って代わられると思うか」など、さまざまなことを話せるのでとても楽しいです。もちろん知らない単語もまだまだあります。今まで知らなかった単語に出会えるのは嬉しいですね。

もちろん、英検1級を取れば英語力が完成されるというものではありませんが、英語を使って仕事をするにも困らないレベルに達しました。
また、映画も字幕がなくてもほとんど理解できるようになりました。訳では伝わらないニュアンスなどもわかるので、さらに楽しめるようになりましたよ。

まとめ

いかがだったでしょうか?

英語の勉強法は本当に人それぞれです。「これが正解」というものは自分で試行錯誤しながら徐々に身につけていくしかありません。
しかし、日本にいても、独学でも英語力は身につけられます。
私の経験でそれを皆さんにお伝えできたなら嬉しいです。